2008-03-27

超大型受注、そしてアントレ最後の一日へ。

今から2ヶ月前。
NewRINGの準グランプリが決まった翌日。

アントレで一番仲のいい同僚と臨んだ合コンで、
僕は泣き崩れた。

時間は夜中の0時ごろ。
場所は繁華街のカラオケボックス。


女の子が中で歌っていて、

合コン仲間のベンチャー社長も中で騒いでいて、

その部屋のドアを出たところで、

僕は入社してはじめて、

仲間の前で泣き崩れた。



新事業の立ち上げに行くには、アントレを卒業しなくてはいけない。

僕はまだ何も成し遂げちゃいないのに、

まだまだアントレでできることがあるのに、

成長させるだけさせてもらって何も恩返しできていないのに、

僕はアントレを卒業するのか。



当時のアントレが10月の人事激震の後遺症から立ち直れず、

売上がまったく上がらず、組織としてバラバラだった状態も油を注いだ。



今の状態のアントレを見捨てて、

僕は卒業しなくてはいけないのか。


今の状態のアントレを見捨てて、

卒業することなんて、僕にできるのか。


そんな自問自答が、いつしか、とめどない憤りに変わって、

ひとり夜中のカラオケボックスで延々と泣きわめいた。


これは、きっとその同僚以外誰も知らないエピソード。

泣きわめく僕を前に、

俺たちで、絶対に、絶対に、アントレの事業を守りきってみせる。

その日、僕らはそう誓い、約束をした。






…それから約2ヶ月。





僕には正式な辞令が下り、異動が決まった。

一年間戦ってきたアントレの48期も、ラスト1日を明日に迎えた。



泣きわめいた当時、どんな奇跡が起こっても埋められない

そう言われていた負債の解消が、目の前までやってきていて、

この2ヶ月のV字具合は、一部では奇跡と称された。




もちろん、僕ひとりがどうこうなんてことじゃない。

ましてや、残された2ケ月で現場の僕らができることなんて、たかがしれたものかもしれない。

それでも僕らは、
あの夜から、
ひとりずつまわりを巻き込みながら、
アントレを語り、
未来を語り、
現実を語り、
目線をあわせた。

全員で、
ここにいる全員で、
絶対にアントレの事業を守りきってみせようぜ。
そう前を向いていった。

そうやって全員で作り上げたこの2ヶ月の回復劇。





僕のキャリアにとっても、この2か月はとても大きな2か月となった。


残された2ヶ月で、

アントレのために、

事業のために、

僕個人ができることはいったい何なのか。



かつて僕の尊敬する先輩と上司が教えてくれた、

不可能を可能にするための、あまりにもシンプルな方程式。





自分以外の誰かのために戦ったとき、人はこんなにも強くなれる。





それを、

とにかく愚直にやること。

とにかく愚直にやりきること。

それだけをやろう。


そして僕は、その夜、戦いの先頭に立つことを決めた。





…そんな決意がなした業なのだろうか。




48期が終わりを告げるギリギリのところで、

僕は超大型受注を果たした。


誰もが知っているあの1兆円小売チェーン企業に対して、

半年間かけて仕掛け続けた提案が、

全社を巻き込んだ末に役員会に上がり、

この4月4日に承認される。


承認に先立ってアントレに発注された巨額の広告企画は、

アントレの歴史に刻まれる超大型受注となった。



受注の瞬間に歓喜に沸いたフロアは、

変わりつつある組織の雰囲気を、一瞬で変えた。



アントレで教わったことのひとつに、

「奇跡ってのは、本当に起こせるものなんだ」

ということがある。


あの夜から、僕らはどれだけ、

まったく兆しのなかったところから商流を作り出し、

果てしなく売り上げを積み上げたことだろうか。



今日の一日が終わるとき、計上が示した数値は、

絶望的といわれた事業目標に対して97%まできていた。



あとちょっと。

あとちょっと。



もうどこに何もないカラカラのぞうきん状態だけれど、

絶対になんとかしてみせる。



あと一日。

本当に、あと一日。



ホイッスルが鳴るその瞬間まで、

全力を超えて、走りぬいてみせる。




笑顔で、最後は笑顔でしめくくるぞ。




そして、明日、僕はアントレを卒業します。




アントレを作り上げてきた先人方、どうか、僕らに力を。